弁護士人口が4万人を超え、弁護士人口(司法試験の合格者数)の抑制論が上がっているようです。
弁護士が4万人突破で抑制論
2018年01月26日 08時00分 毎日新聞訴訟数は横ばい 「司法試験合格者数を抑制すべきだ」の声も
国内の弁護士数が今月、初めて4万人を超えたことが、日本弁護士連合会への取材で明らかになった。司法制度改革が本格始動した2002年以降、弁護士が大半を占める法曹人口の拡大が続き、ここ10年間で約1.5倍に増えた。日弁連は活動領域の拡大に力を入れているが、裁判件数が増えていないこともあり「司法試験の合格者数を抑制すべきだ」との声もある。
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0126m040171/
(引用元の記事は削除されました)
(画像はイメージです。)
弁護士人口が増えて、消費者には選択の幅が増えるが
弁護士人口が増えて、消費者にとっては選択の幅が広がるのはうれしいことです。訴訟費用(弁護士費用)は言うまでもなく、相談料ひとつとっても高額です。
もっとも弁護士が増えすぎて、業務の継続が危ぶまれるならば、話は別です。実際に司法修習を終え、弁護士デビューしたものの、低所得の若手弁護士もいらっしゃるとか。さらにロースクールで奨学金を利用していた場合は、奨学金の返済もあります。
予備試験が人気の理由
このような経済的環境から、司法試験予備試験が人気なのは納得です。法科大学院(既修・未修)と比較して、費用・時間の面で魅力があります。
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司法修習での給与制の復活も
また明るいニュースもあります。それは「司法修習での給与制の復活」です。月額約13万5千円(諸手当は別途支給される)というもの。金額としては決して大きくはありませんが、貸与制のみであった従来と比較すれば大きな環境改善です。
弁護士保険など新しい分野で需要開拓も!今後弁護士の需要は?
ここまで暗い話となりましたが、新しい需要となる分野も出てきています。先に引用したニュースの後半部分にあります。
日弁連の中本和洋会長は24日の定例記者会見で、交通事故などに遭った人の弁護士費用を保険会社が負担する「弁護士保険」が広がっていることから「交通事故の受任件数が飛躍的に増えている」と話し、弁護士の活動領域は今後も広がりうるとの見解を示した。また、司法制度改革に詳しい飯考行(いいたかゆき)・専修大教授(法社会学)は「大都市圏では弁護士の就職状況が改善され、過疎地域ではむしろ弁護士の確保が難しくなっている。企業や自治体による弁護士の採用は増えつつあり、現状の合格者数1500人を維持することが望ましいのではないか」と話す。
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0126m040171/
(引用元の記事は削除されました)
記事にあるように、交通事故に特化した「弁護士保険」のほか、最近では「痴漢冤罪保険」などの新商品も。特に「痴漢冤罪保険」などは、掛け金の安い少額短期保険であり、人気があります。
「痴漢冤罪保険」申し込み10倍増 月590円 スマホ「ヘルプコール」で弁護士がお助け
それでもボクはやってない-。「痴漢」に間違われたときに助けてくれる特典の付いた保険が注目されている。痴漢を疑われ、線路から逃走する事案が相次いだこともあって、ゴールデンウイーク前後で申込者が約10倍に急増したというのだ。(夕刊フジ)
「痴漢冤罪(えんざい)ヘルプコール付き弁護士費用保険賠償責任保険」は、刑事事件を含まない事案や事故の当事者となった場合に弁護士や法律相談の費用、賠償金を負担するもので、法律相談では離婚、遺産相続、リストラ等の民事問題から、いじめやケンカ、子供のいたずらなど身近な事件まで対応している。
保険料は月額590円(年額6400円)で契約期間は1年。被害者となった場合の弁護士費用などの保険金が最高300万円、法律相談など保険金を最高10万円、加害者となったときには個人賠償責任保険金を最高1000万円受け取ることができる。
話題となっているのは「痴漢」の事案に対応するオマケが付いている点だ。「ヘルプコール」とは、自分が痴漢に間違われたときにスマホのボタンを押すと、提携している弁護士にメールが一斉送信され、対応可能な弁護士から返信が届き、指示を仰ぐことができるという仕組みだ。
https://www.sankei.com/affairs/news/170605/afr1706050007-n1.html
【まとめ】弁護士の競争は増えるが、新商品の登場など新分野もある
弁護士人口の増加と言うと、「仕事がなくなる」など暗い話になりがちですが、後半でご紹介した新商品のように、新たな分野も増えています。
もちろん弁護士人口が増えれば競争も激しくなります。しかし一般企業や他の士業においても同様であり、競争があるからこそ、新商品の開発など、業界の発展につながると捉えるべきです。
また司法試験合格に違う分野で、能力(法律的素養)を活用する方法も興味深いです。
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企業内弁護士も、給与は?
そして補足になりますが、企業内で働く「企業内弁護士」という方法もあります。
10年前の10倍増 弁護士が独立より「企業内」を目指す理由
2018年2月8日(中略)
この2つに共通するのが、「企業内弁護士」だ。弁護士というと、ある程度の経験を経て独立開業するものとばかり思っていたが、サラリーマンとして普通に就職を希望するケースが増えている。日弁連によると、その数は1931人(2017年)。10年前に比べて10倍増で、約3万9000人いる弁護士の5%を占めるまでになった。「英語ではインハウス・ローヤーと言いますが、企業の法務部門などに籍を置いて社員として働きます。司法修習生の頃から企業内弁護士を目指す人は確実に増えていますし、また私の知り合いの弁護士は、いわゆる4大法律事務所の数千万円の給与を蹴って、ある企業に企業内弁護士として転職しました」(アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹代表弁護士)
企業内弁護士の主な業務は、契約書の作成や法的リスクのアドバイスなど。大手企業の場合、M&Aを手掛けたりもする。現在、ヤフージャパンの28人を筆頭に野村証券、三井住友銀行、三菱商事は20人もの企業内弁護士を雇用している。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/222748
記事にもあるように、企業内弁護士の主な業務は契約関係など民事が中心です。したがって刑事事件に携わることは少ないと思いますが、有望な就職先として今後さらに注目を集めると思います。
また気になる給与ですが、記事の続きによると大手企業の社員並みのようです(もちろん企業によって異なります)。弁護士の割には所得が少ないように思えますが、企業が弁護士会費用の肩代わりをするなど魅力があるそうです。