【PR】 予備試験

【司法修習】給費制が復活!しかし貸与制も残る、ってどういうこと?

2016年12月9日

弁護士や裁判官、検察官になるには司法修習をしなくてはいけません。旧司法試験制度下では2年、そして新司法試験制度下では1年の期間が設定されています。

以前は給費制(給付制=給料が出る)

この司法修習では、司法修習生という「公務員に準じた地位」が与えられます。一応公務員みたいなものですから、副業などは禁止です(最近では一部アルバイトが認められています)。

したがって司法修習生の生活を保障する点から、以前は司法修習生にも給料が出ていました(給費制と呼ばれます)。それが法科大学院がスタートした頃から貸与制になりました。

ネット上では、司法修習生に支払うべき給料を法科大学院の補助金に回ったという噂もありますが、そんな印象を持つ方が多いのではないでしょうか(もっとも法科大学院の管轄は文部科学省、司法修習は法務省の管轄です)。

法科大学院の奨学金と、司法修習の貸与制で多額の借金も

ご存知のように法科大学院はとにかく学費が高く奨学金で進学されている方が多いと思います。その上に司法修習で「貸与制」と、ダブルパンチです。人によっては1,000万円近く借金を抱える方もいて、こんなことをしていたら将来的に法曹に優秀な人材が集まらなくなります。

したがって司法修習生の方の中には、「貸与制は違憲」と訴える方もいました。

司法修習に「給費制復活を」 4地裁で200人が提訴
2013.8.2 12:27

 国が司法修習生の給与を支払う給費制を廃止したのは不合理で、復活すべきだと主張する元修習生が2日、1人当たり1万円の国家賠償を求める訴えを名古屋地裁、東京地裁に起こした。広島、福岡各地裁にも同日中に提訴。「経済的事情で法曹への道を断念する人もいる」と訴えている。
 訴状によると、4地裁の原告は、いずれも2011年11月から1年間の修習を受けた計約200人。国は従来、月約20万円を給与としてきたが、法曹人口の拡大に伴う財政負担を軽減させるため11年11月、ほぼ同額を貸与し、返済義務を課す制度に移行した。
 修習生はアルバイトなどの兼業ができないため原告側は「最大約300万円の借金を負った人もいるなど、以前の修習生との間に著しい差別が生まれた」と主張している

引用 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130802/trl13080212360000-n1.htm
(2016年12月19日現在、リンク先の記事は表示されません。)

他にも国を訴える裁判はありました。法曹になるには司法試験(予備試験)に合格する必要があり、この学費も併せればかなりの高額なります。費用ばかり掛かる法科大学院をなくし、その分の財源を従来のように司法修習生の給与に回したほうが良いのではないでしょうか。

参考記事 法科大学院撤募集停止(撤退)ニュースまとめ、予備試験は人気に!

給費制が復活!

そんな中、驚きのニュースが入っていきました。「給費制の復活」です。これは2016年12月18日(月)にヤフーニュース(読売新聞)が伝えたもの。ヤフートップの表示を見たときは、驚きで震えましたね。

司法修習生に「給費制」復活へ…貸与と併用で
読売新聞 12/19(月) 7:27配信

 国が司法修習生に生活費などを一律に支給する制度が新たに創設されることが、関係者の話でわかった。

 来年度の最高裁予算案に盛り込まれる見通しで、給付額については、財務省と法務省などが最終調整している。2011年に廃止された「給費制」が、来年の司法試験合格者から事実上、復活することになる。

 司法修習生に対する経済的支援は、国が月約20万円を一律に支給する「給費制」が11年、財政難を理由に廃止。同年の司法試験合格者から、希望者に月18万~28万円を無利子で貸し付ける「貸与制」に切り替わった。

 関係者によると、新制度は給費制と貸与制の併用型となる見込みで、国が修習生に毎月、一定額を支給した上で、希望者には無利子の貸し付けも行う。法務省は、来年の通常国会に新制度の創設に必要な裁判所法の改正案を提出する予定だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161218-00050141-yom-soci
(リンク先の記事は削除されました。)

\【期間限定】あの講座が大幅割引/

LECタイムセールはこちら→

合格者数の増加につながるか?

ここ最近の司法試験の合格者数ですが、2,000人を割っています。司法制度改革がスタートした頃には、3,000人の合格者数を目指すなんてことを言っておりましたが、このような結果です。

合格者数の減少もそうですが、それ以前に受験者数が減っています。これはロースクールはもちろんのこと、司法修習期間中の生活費の工面など、総合的に勘案して撤退している方が多いからでしょう。

そして今回の「給費制の復活」です。これにより受験者数、合格者数は増えると思います。もちろん一番のネックは法科大学院の学費の高さであり、予備試験が人気を集めていることは周知のとおりです。

給費制と貸与制の併用とは?

上の読売新聞の記事で気になったのが「関係者によると、新制度は給費制と貸与制の併用型となる見込みで、国が修習生に毎月、一定額を支給した上で、希望者には無利子の貸し付けも行う。」です。

つまり従来のような完全な給付制ではないようです。法科大学院にお金が掛かりますから、以前の様には行かないんでしょうね。この記事から予測するに、給費制でも金額自体は以前よりも減るような気がします。

やはり法科大学院をなくすべきだと思います。実務家の弁護士の中には、実際の実務でトレーニングした方が良いとの意見もあり、費用対効果の面からも法科大学院は不要と考えます。これにより財源を司法修習生に回せるのではないでしょうか。

法科大学院についてですが、今後は予備試験を活用するなり、また抜本的に旧司法試験にように戻すのがベストだと思います。

給付額は月額13万5000円か?

その後、同じ読売新聞から報道がされました。記事によると月額13万5000円で調整しているようです。

司法修習生の「給費」月13万5000円で復活
2016年12月19日 22時16分

 国が司法修習生に生活費などを一律に支給する新制度について、法務省は19日、来年から導入する方針を正式に発表した。

 支給額は月13万5000円で、毎年の支給総額は30億円程度になる見通し。国の財政難から2011年に廃止された「給費制」がわずか6年で事実上復活することになる。高給取りとされる弁護士や裁判官、検察官になる司法修習生を国が特別扱いすることには、反発も予想される。

 発表によると、法務省と最高裁、日本弁護士連合会の3者が同日、司法修習生を経済的に支援する新制度の導入や、同省が来年の通常国会に新制度に伴う裁判所法改正案を提出することなどで合意した。住居費が必要な場合は月3万5000円を追加し、司法修習に伴う引っ越し代も国が負担する。希望者に月18万~28万円を無利子で貸し付ける現行の「貸与制」は、金額を見直した上で今後も継続するという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20161219-OYT1T50087.html
(リンク先の記事は削除されました。)

この記事を見ると月額135,000円の他に住居費が支給されるようです。住居費も含めると月額17万円ですね。

司法研修所は埼玉県和光市にありますが、安いスーパーとかもありますし、安心して研修(勉強)に集中できると思います(和光市駅から東武東上線に乗れば池袋もすぐですが、遊びは厳禁です)。

アルバイトはどうなる?

給付月額は分かりましたが、もう一つの注目点が「アルバイト」です。司法修習生は公務員であり、アルバイトは一般公務員と同様に禁止です。

もっとも最高裁判所の許可があれば、アルバイトが可能な場合があります(司法修習生に関する規則2条を参照)。貸与制となっている現在、例えば答練の採点や司法試験講座の講義を担当している方もいるようです。

しかし月額17万円支給となれば(住居費を含む)、原則通りアルバイトは禁止ではないでしょうか。修習に専念させるための給付ですからね。今後の報道に注目です。
参考記事 【司法試験】司法修習に給費制が復活も月額135,000円。講師のコメントは?|速報試験ニュース

まとめ

今回の給費制復活の話を聞いて喜んだものの、金額があまり高くないため、がっかりしている方もいらっしゃると思います(私もその一人です)。

もっとも今までは全く支給されなかった(貸与は別)訳であり、それに比べれば一歩も二歩も改善したという印象です。司法試験や予備試験の学習もモチベーションアップするのではないでしょうか。

-予備試験